児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支える大切な制度です。
しかし、「条件が複雑」「所得制限が難しい」「誰が対象なのか分かりにくい」という声も多く、申請を迷ってしまう人が少なくありません。
私自身も、制度について“なんとなく知っている”だけで、仕組みをしっかり理解できていませんでした。役所に相談しても、支給額は申請してみないと分からないと言われたり、扶養の扱いが複雑だったりと、戸惑うことがたくさんありました。
この記事では、
児童扶養手当の基本から、申請時に注意したいポイント、実際に私が経験して気づいたことまで、わかりやすくまとめて紹介します。
制度の理解が深まることで、「申請すべきかわからない」という不安が少しでも軽くなりますように。
この記事でわかること
- 児童扶養手当の対象と基本的な仕組み
- 所得制限が“複雑になりやすいポイント”
- 扶養の有無・控除の影響で支給が変わる理由
- 申請で注意したいポイント
児童扶養手当とは?(基本)
児童扶養手当は、
ひとり親家庭(離婚・死別・未婚・虐待・別居など)で子どもを養育する家庭に支給される手当 です。
対象年齢は、
- 原則「18歳になった年度末まで」
- 障がいがある場合は20歳未満まで
この制度は、生活の安定と自立を支援する目的でつくられており、支給額は「満額」または「一部支給」に分かれています。
対象となる人
以下の状況のいずれかに当てはまる場合、児童扶養手当の対象になる可能性があります。
- 離婚後、子どもを養育している
- 配偶者と死別している
- 婚姻歴がない(未婚)
- DV等が理由で別居し、子どもを自分で養っている
- 配偶者が重度障がいの場合
「ひとり親家庭」という枠は広めなので、迷う場合は一度申請してみることをおすすめします。
支給額の基本
支給額は物価や制度改正により毎年更新されます。
※この記事では詳細金額は割愛し、自治体の公式ホームページ等で必ず最新情報を確認してください。
支給額は、
- 満額支給
- 一部支給
のどちらかになります。
児童扶養手当の“所得制限”はなぜ複雑なのか
児童扶養手当の判定で最もややこしいのが、この「所得制限」です。
理由は以下の3つです。
前年の所得で判定される
申請する年ではなく“前年”の所得が基準になります。
※(1月から9月に請求する場合は前々年)
そのため、
- 離婚したばかり
- 産休・育休明け
- 扶養が相手側に入っていた年
などは、実態とズレることがあります。
扶養人数が“前年の状況”で決まる
多くの人が混乱するポイント。
前年に子どもの扶養が元夫側に入っていた場合は、
あなた側の扶養人数は「0人」扱いで計算されると考えられます。
→ 結果、所得制限が厳しくなる
→ 一部支給にならないケースも増える
この落とし穴は注意が必要です。
控除の影響で、支給される人・されない人が変わる
児童扶養手当の所得判定では、さまざまな控除が適用されます。
主な控除は以下のとおりです。(2025年11月現在)
- 障がい者 …… 270,000円
- 寡婦 …… 270,000円
- ひとり親 …… 350,000円
- 特別障がい者 …… 400,000円
- 勤労学生 …… 270,000円
- 雑損控除、医療費控除、小規模企業共済等掛金控除、配偶者特別控除
→ 該当する場合はその額を控除 - 母(父)が受給者の場合
→ 寡婦及びひとり親控除の適用はなし
控除で支給対象になるケースもある
たとえば、収入が多くても控除額が多いなどの場合は、
所得が下がって“支給の対象になる”ことがあります。
私自身も、所得制限を超えそうでしたが、
医療費控除のおかげで支給対象になりました。
iDeCoも全額所得控除 の対象となるため、
所得制限を超えそうな場合にはうまく活用してみるとよいでしょう。
児童扶養手当の申請で注意したいポイント
申請が遅れると、さかのぼって受け取れない
ここが一番大切です。
児童扶養手当は、
申請した月の“翌月分から”支給が始まる仕組み。
つまり、
- 3ヶ月遅れても
- 半年遅れても
過去にさかのぼって受け取ることはできません。
少しでも迷っているなら、とりあえず申請だけ先に済ませるのがおすすめです。
支給額は事前に教えてもらえない
役所に聞いても、
「答えられません」
と言われるケースがほとんどです。
理由は、控除や扶養状況など、個人によって複雑に変動するためです。
現況届は必ず提出する
毎年1回(8月)の「現況届」を提出し忘れると、
11月以降の手当が支給停止 になります。
期限内に必ず提出が必要です。
ひとり親の“年収の壁”についての現状
ある調査では、ひとり親家庭のうち約3割が「手当が減ることを避けるために就労を抑制している」
という結果も。
働きたい、収入を増やしたい、でも手当が減ると生活が成り立たない──。
制度そのものが難しいこともあり、現実的な悩みとして多くの人が抱えている問題です。
最後に:迷うなら一度申請してみてほしい
児童扶養手当は、
「がんばっているひとり親を支えるための制度」です。
制度は複雑ですが、
後から“申請しておけばよかった”と後悔してほしくありません。
あなたの状況に合うかどうかは、申請してみて初めて分かることもあります。
無理なく、できるタイミングでまずは一歩。
それが、あなたとお子さんの生活を支える大切なきっかけになります。











